再生計画案の提出

1 再生計画案の内容について

再生計画案とは、要する今後の返済計画表です。
弁護士の方で、返済するべき期間、返済する金額、債務カットの割合を記載した書面を裁判所に提出します。
再生計画案の策定に際しては、主に以下の点が調査されます。

①再生計画遂行の見込みの有無
要するにきちんと返済していくことが可能かどうかという点が見られます。
②計画案に基づく返済総額が清算価値を下回っていること、いわゆる清算価値保証の原則が守られているか
③債権額(住宅ローン除く)が5000万円を下回っているかどうか
④計画弁済案の返済総額が適切に記載されているかどうか
⑤再生計画に基づく返済期間が3年(特別な事情がある場合は5年)以内になっているかどうか。

これらを調査の上、問題が無ければ再生計画案は債権者の決議にかけられることになります。その際、住宅ローンをそのまま支払い続け、継続居住を希望する人は、住宅資金特別条項を再生計画案に加える必要があります。

2 住宅資金特別条項について

住宅資金特別条項とは、個人再生手続の中で住宅ローンの支払があり、かつ、住宅ローンをそのまま返済していく場合に定めるべきものです。

(1)そのまま型(民事再生法199条1項)

住宅ローンを組んだ約定どおりにそのまま支払っていく形式です。
法律上は(2)に含まれる形式ですが、面倒な契約再締結が不要であり基本的な形式になります。

(2)期限の利益回復型(民事再生法199条1項)

支払が遅れた部分について、一括で支払うことはせずに月々分割払いをするように定める形式です。例えば、個人再生が認可された時点で元金50万円滞納していたら、その滞納分と利息を月々支払うローンの中に含めて返済することになります。

(3)期限延長型(リスケジュール型、民事再生法199条2項)

(2)では月々の住宅ローンのそのものの支払については増額してしまうことから、住宅ローンの支払額はそのままで、返済期限を延長する形式です。

(4)元本猶予期間併用型(民事再生法199条3項)

一般弁済期間、すなわち個人再生が認可確定して各債権者に弁済を行う3年間は元本の支払を猶予してもらい、かつ、返済期間を延長するという形式です。特に支払が苦しい3年の弁済期間に住宅ローンの支払が減少するのでメリット大きな条項ですが、リスケジュールするだけでは再生計画案の履行可能性が低いことを示す必要があります。

(5)同意型

住宅ローン債権者の同意を得て、自由な形式で住宅ローンの支払方法を変更することです。住宅ローン債権者の同意が前提になりますが、こちらで積極的に提案すれば受け入れていただける事例もあります。

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