法人の任意整理手続

法人の任意整理とは、法人の取引金融機関、取引業者、そのほか債権者と弁護士が交渉し、支払条件を変更・決定する手続です。手法に制限が無いのが特徴です。

個人の任意整理手続と一般的には同じ手続ですが、貸金業者以外も任意整理手続の対象となります。借入金だけではなく、買掛金等債務の種類を問わず整理の対象です。

任意整理の交渉で決定する内容は?

話し合い、交渉ですから、特に法律上の制限があるわけではないので、自由に定めることができます。そのため、分割回数を100回、200回といった多数回にする、そもそも元金そのものを減額といった条件で合意する場合もあります。

例えば、100万円の買掛金につき、20日後に一括払すべきであるところを、交渉して2万円の50回払でお願いすることもできますし、80万円に減額してもらうよう要請することもできます。

ただ、当然相手方の合意が必要であるため、あまりに無茶な条件を相手方に押し付けることはできません。特に事業者の場合、評判が問題となることもあります。

この点は、弁護士とご依頼者様とで協議して、どのような提案をしていくのか、どうすれば相手方に合意してもらえるのか、といった点について、よく相談する必要があります。

任意整理手続の流れ

①相談

弁護士がご事情をお伺いし、アドバイスいたします。
会社の事情に応じて、さまざまな手法をご提案可能です。
ご相談だけであれば無料です。
弁護士にまずご相談ください。

②契約(受任)

ご相談後、希望あれば弁護士が債務整理を受任いたします。
ご契約に際しては、費用および業務内容を明確にするために、弁護士と契約書を交わします。

③受任通知発送

弁護士から相手方に受任通知を発送します。
受任通知発送のタイミングは、個別にご相談できます。
緊急を要する場合には、弁護士が直接相手方を訪問、電話等を行うことになります。

④弁護士と相手方の交渉

相手方に対して、支払方法・支払条件を提示し、交渉します。
債権者が多数いる場合は、債権者集会を開いてまとめて整理する場合もあります。
わずらわしい相手方との直接のやりとりは、弁護士がすべて代行いたします。

⑤和解契約の成立・支払

任意整理対象と合意した結果を、ご依頼者様にご連絡いたします。
相手方と合意した条件に従って支払を行います。

任意整理のメリットおよび他手続と比較した特徴

★苦しい支払から逃れる最良の手段

各債権者に対する支払額を分割、減額、延期できます。
取立の電話、債権者とのわずらわしい交渉、いずれからも解放されることになります。

★経営権が経営者に残る。

他の手続のうち、自己破産、会社更生といった手続は経営権が原則として残りません。
経営権が残る手続としては他に民事再生手続がありますが、予納金が非常に高額であり、中小企業が事業再生の手法として個人再生をするのは現実的ではありません。
そのため、経営権を維持しつつ、かつ、債務を整理しようと考えるのであれば、任意整理の手続きを取るのが一般的と言えるでしょう。

★法律上の制限が無く、対象事業者が選べる。

対象事業者を選べる点が、他の法的整理と比べると優れています。
例えば、取引業者だけを対象にして任意整理することもできますし、その中でも、現在取引がある業者は対象から外すこともできます。取引業者は整理の対象とせず、銀行等金融機関のみを対象とすることも一般的に行われています。
金融機関が対象であれば、業者に債務整理の事実が発覚することがないため、信用不安が発覚せずに済みます。

任意整理のデメリット

★信用不安が発生する場合がある

任意整理を行うことで、会社の業績、経営状態が良好ではないことが判明してしまう。
それにより、信用不安が発生してしまい、結局は経営がたて直せないことも多い。
信用不安を回避するためには、任意整理を行っていること自体を秘密で手続を遂行するか、ある程度債権者が有利な条件で和解をする必要があります。

★個別合意が必要である。

破産手続の場合には債権者の合意は不要です。
民事再生手続の場合には合意は過半数で足ります。
しかし、任意整理は各債権者との個別合意が必要です。債権者と合意が取れず法的手続に移行せざるを得ない場合もあります。
とは言っても、任意整理の場合、相手方は任意整理に応じざるを得ない場合がほとんどです。結局破産、再生の手続をとられてしまうと、債権が1円も戻ってこないことが多いためです。この点をいかに債権者に理解していただけるかとくのが、任意整理手続きを行う際の肝となります。

任意整理手続にかかる費用について

任意整理手続きは、交渉対象とする会社をどこにするかによって、金額が異なります。
詳細はお問合せください。

1 カード会社・消費者金融等金融業者

1社あたり3万円(着手金・報酬合計)。

2 一般事業者、取引先に対する交渉

1社あたり5万円を基本とします。(着手金・報酬合計)
相手とする会社数、希望手続に応じて金額が異なりますので、個別にご相談ください。

3 銀行等の債権者

1社あたり3万円(着手金・報酬合計)。
ただし、メインバンクに対して事業計画書の提出等を補助する場合、銀行への出頭を要する場合には別途費用がかかります。

お問い合わせ

©弁護士法人やがしら